2013年10月15日火曜日

【YCAM】120%で遊ぶ子供の行く末は

山口県のYCAMにいる。



iamasと文化庁主体の身体メディアの教育プラグラムの一環のために20日間ぐらいいる。
滞在中は設営を中心に行っているのだが、休みという名の自由時間では、山口市中で行われている10周年の取り組みをみたり、YCAMにある施設などを見てまわり、スタッフの方たちと話をした。

特に興味深いのはコロガルパビリオン。


こどもが自分達で遊びを考え、時に子供たちの無理難題にスタッフ達がアナログだったり、プログラミングを駆使して、それを実現する。非常にフレキシブルな取り組みを行っている。そこには専属のスタッフが常時3名〜4名ほどいて、毎日の遊びや気付きについてTumblrにUPしている。

http://koropavi.tumblr.com/

あんな120%の活力で遊んでいる子供は久々に観た。
2時間ほど見学させてもらい、スタッフの方と話をして興味深かったことを幾つかあげておく。

■身体性とメディアのバランス

身体的な熟練度と反比例して、メディアというかメディアアートへのきっかけというのはなかなか難しいようだ。

自身も大垣市とのプロジェクトで『ドロトレ』という黒いマジックテープの上を走る電車のおもちゃにカメラを搭載し、その映像がiPadに映り、さらにテープの色でカメラの前のエフェクトが切り替わるというプロダクトを作った。というか、今も進行中だ。そのプロトタイプを行った際に、子供がまず”動くモノ”に夢中で、徐々にカメラやiPadに意識が動いていくことを思い出した。

身体的な経験はある種、通過儀礼みたいなもので、いきなり”仕組み”に興味を持つのは難しいのだろう。

■躾と野生化

コロガルパビリオンに入る前に、簡単な説明でここでは何をしてもいい、という話をするけども時に”これをしてもいいの”とスタッフに聞きに来るのだとか。

あるお姉ちゃんと妹が初めて遊びに来た時に、妹は全力ではしゃいでいるのに、お姉ちゃんは”汚いからやめて!”という止めることがあったのだとか。このお姉ちゃんには親の反応とか含めて、『良いこと』の定義が固まり始めたんだろうか。

ただ、コロガルパビリオンが開放される時期は、子供たちがパビリオンを離れても自由奔放になるケースがあるらしい。例えば、坂本龍一氏が展示しているForest Symphonyのスペースに虫が飛び跳ねてたり笑。

興味深いのが”汚いから!”という感情がどのタイミングで発生したか、ということ。それは恐怖の感情も同様で、日常生活の中で刷り込みのように入っていのだろう。メディアのチカラは大きかろうが、話がそれるのでここでは置いておく。

躾が”善い”と”悪い”を理解させることとしたら、コロガルパビリオンはその善悪のスケールを広げ、さらにレイヤー的に善いと悪いを体験させることなのかもしれない。

スタッフの方も言われていたが、今の学校教育には絶望してると。何をするにも注意されちゃって、そのスケールがどんどん狭くしてしまって、子供たちは雁字搦めになって非常に窮屈そうだと。

実はコロガルパビリオンは親御さんにも影響を与えている。正直、コロガルパビリオン内では10分に1回ぐらいに危ない!っと思える瞬間があったりなかったりする。そこに対して親御さんはドーンと構えているのが非常に印象的だった。振り返ってみると、自身も同じようなことをして遊んでいたことを思い出しているかのような表情が印象的だった。


■やりたいことはあるけども、子供からその声を届けて欲しい

実際にコロガルパビリオンに入ってみて、こんなことができたら、ということが次々に浮かんできた。スタッフの方たちも同様で、それが浮かんではいるのだけども、そこは子供たちから提案が欲しいんだとか。

実際にここでは月に1回、子供たちによる子供ミーティングが開催される。どんな遊びがあればよいかをグループに別れ、発表するのだ。それが実現可能であれば、Labで実現に向けて動き出す。

ただ、子供ならでは発想も愉しいのだが、なかなか唸るようなアイデアは出てこないのだとか。ここでいう面白いというのが既に大人からの発想かもしれないが、メディアを通した遊びなども出てきてほしいのが本音だそうだ。

自分が知っている知識の組み合わせの中で、アイデアは出てくる。なのでここはひとつめの最初の『身体性とメディアのバランス』にも繋がるかもしれない。ただ、そこに関しては気長に待つのだとか。

上記のように、色々自分の子供時代なり、考えさせられる施設でございました。
最近調べた子供についてのメディアの取り組みで興味深かったのをあげておく。

子供DJ
https://www.dirigent.jp/fun/menu/join/dj-on-PreSchool.html

DSのピクトチャットで情報戦 「DS鬼ごっこ」がブームに
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1147421.html

TED日本語 - ミッチェル・レズニック: 子供達にプログラミングを教えよう
http://digitalcast.jp/v/16734/

突き詰めると子供たちにプログラミングを教えることになりそうだなー。
滞在中、時間をつくってYCAMの教育事業に参加したいなー。

不満があるのは店がだいたい7時から8時には終わるので、晩飯がまともに食えないこと。ただ山口の地酒『獺祭』はめちゃめちゃ美味い。ワインのような透明感の日本酒。
おみやげ筆頭候補。

美術手帖2013年6月号増刊 YCAM GUIDEBOOK 山口情報芸術センター[YCAM] アートと社会をつなぐ、メディアの実験場 Web Designing (ウェブデザイニング) 2013年 10月号 [雑誌] 旭酒造 獺祭 (だっさい) 純米大吟醸 磨き39 720ml

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